
生活協同組合コープさっぽろ
医療連携事業部 小濱 様
生活協同組合コープさっぽろ
医療連携事業部 小濱 様
生活協同組合コープさっぽろは、1965年の設立以来、食料品や日用品の提供だけでなく、子育て支援や高齢者見守り活動、環境保全など、地域に根ざしたさまざまな事業を展開してきました。
北海道内で約200万人の組合員に支えられ、店舗・宅配・福祉・共済など、多角的に「くらしのパートナー」としての役割を担っています。
これまで「食」と「くらし」を支えてきた生活協同組合コープさっぽろが、新たに健康診断事業をスタートしました。
そこで今回は、そもそも健康診断事業を始める事になったキッカケから、移動健診車による巡回健診を開始した経緯も含め、医療連携事業部の小濱様にお話をお伺いしました。
ーー 生協として健康診断事業を始めた背景はどのような理由がありましたか?
生協は出資も運営も自分達で行う非営利組織です。ですので必ずしも利益追求を求めなくても良いという点で、民間と公的組織の間の「中間セクター」と表現されたりもしてきました。小売りがベースに有るので競合他社さんと切磋琢磨もしつつ、公共性の部分では地域の困りごとを事業で解決していくソーシャルビジネスの考えで様々な事に取り組んでいます。
北海道の話題には「医療」の課題があります。それは北海道の医療費は全国平均より4万円高い、特定健診受診率が全国最下位という現実がありました。そこでコープさっぽろで何か出来ないか、と考えた時に「移動販売車」や「宅配」で培ったノウハウを使った「健診車での巡回健診」という予防医療の分野に辿り着きました。
過疎化が進んでいく北海道において、病院が無くなっていく地域へ行くのは本来採算が見合わない中、コープならコープの事業所巡回と合わせればカバー出来ると考え、当初はパートさん2人との合計3人で手探り状態の中、健康管理の必要性を再認識して、完全に1から事業を始めました。
ーー 前システムでの課題と、当システム(DAYS-Daidai-)への決め手は有りましたか?
まずは最初の1年の事だけ考えて、前システムは5社の中から1日1万人の受診者が受入対象でもNOと言わなかったシステム会社を採用しました。しかし必要事項が不足しており、結局そのカスタマイズに費用が掛かる事や、特定保健指導要綱が変わる際にも対応しないという事、そしてこの先に3万人、5万人と受診者が増えた場合に対応できないという事がわかりました。
その状況の中、改めて完全クラウドで4~5万人に対応可能なシステムを探している時にシステム・ビットと出会いました。
カスタマイズしなくても基本機能を搭載している事、提出が義務付けられている書式に対応している事など、今までやってきた作業の流れは別途確認する必要有りますが、必要な機能が揃っている事が決め手で、移行する事を決めました。
ーー システムを導入してから、どのような変化がありましたか?
運用開始してから色々と有りますが、前システム開始時とは異なり、今回は既に健診業務が動いている中で、健診予約も沢山入っているので、スケジュールと受診者数で判断すると、現場の負担は非常に大きかったと思います。
検体ラベルについても今までは1社で完結していたのが2社になった事で、双方のコミュニケーションも必要になり、それに関わるイレギュラー対応も初めての事で、四苦八苦している実感は有りました。
ただ、システム・ビットのサポートとは即時連絡が取れるので、早めの指示や対応をいただける事で問題がクリアになって行き、それの積み重ねで現場に「ノウハウ」が蓄積されています。
例えば2社間の機能連携部分でも「A社側の処理は完了しているので、今回のエラーはB社側だと思うが、いかがですか?」という形で、問い合わせ内容を事前に整理して、ピンポイントな内容を伝える事が出来るようになって来ました。
ーー 実際に使ってみて、便利な機能は有りましたか?
やはりそもそもクラウドである、という事が大きいです。健診車にも現場にも外付けのWi-Fiを繋げているので、いつでもどこでも作業が出来ます。通常だと事務所へ持って帰ってから入力作業行う必要が有りましたが、基本的に何が起きても「その場で完結する事が出来る」というのが便利で強みです。
そして今回実験的に導入した KENSHIN Plus の効果がとても有ります。現場に居なくても遠隔で「うまく回っているのか混んでいるのか」という受診者の検査進捗状況を確認する事ができ、1人当たりの受診時間を〇分以内にしよう、という目標を具体的な時間と人数で出すための根拠として、KENSHIN Plusのデータが大変参考になります。
現場で何が起きているのか、どの部分が混んできそうなのか、などイメージした事について視覚的に数値で見れて、しっかり感覚的に評価する事ができるので、KENSHIN Plusを導入して本当に良かったです。
ーー このシステムのおススメポイントを教えてください
施設の規模と、どのように使いたいか?が重要かと思います。オンプレで済むなら良いですが、我々の様に外で業務を行う状況の中、入力作業が遅れると結果送付も遅れるので、そういう場合にはクラウド型が必要になります。
初期費用が高いオンプレは、導入後も開発費用や更新費用が掛かる事や、オンプレからクラウドへの移行は相当重いと考えるので、初めからクラウドを導入した方が、万が一、他社クラウドへの乗換の際も、クラウドからクラウドはコストが高くないです。そういう意味も含めて、今後クラウド型の需要は高くなって行くと思います。
今回、 RS_OrderPro(検体検査システム) の 株式会社Medical-In さんには、初のクラウド対応をして貰いましたので、 LOOKREC(医療用画像管理システム) の 株式会社エムネス さん、そしてメインのDAYS-Daidai-を含め、各部門システムとの連携も全てクラウド上での対応を実現した事で、システム・ビットからは「おそらく、基幹システム・部門システムも含めた全システムのALLクラウド化は、医療業界・健診業界を見渡しても『初の完全クラウド化を実現した、と謳えるのではないでしょうか』という評価を貰いました。
この先、保険診療を始める場合に電子カルテもクラウドにすると、患者情報管理の実績が増えて行くので、クラウド型は必須になって行くかな、と思います。
ーー システム・ビットに期待することや、今後の展望は?
1人当たりの受診時間を○分以内にする、という目標が有ります。KENSHIN Plusを導入した事で、まず現場の進捗・混雑状況を把握する事が出来るようになりました。
次のフェーズとしては「この検査は平均でどのくらいの時間が掛かったのか?」や「1時間毎にソートした際、どこかで問題が発生していないか?」という分析に必要なデータを蓄積して行きたいです。
そのデータを集計・分析する事で健診業務において、どの部分を改善する余地が有るか?また、どのくらいの時間短縮を見込めるか?という判断材料になり得ると思います。
これからコープさっぽろの健診事業を拡大していくにあたり、必要不可欠な課題と位置付けておりますので、KENSHIN Plusへのリクエストとして、まずはボタンクリック1つで、集計データをCSV出力する事が出来る機能が追加される事を、楽しみに期待しております。
インタビュー:2025年5月22日